江東の子弟 2012 10 14
今日は、中国の古典文学から、ひとつ紹介しましょう。
「江東の子弟才俊多し、捲土重来未だ知るべからず」
(晩唐 杜牧「題烏江亭」)
項羽の本拠地である長江下流域には、優れた若者が多い。
恥を忍んで、いったん退却し、彼らと共に、
砂ぼこりを巻き起こすように再起すれば、
天下の形勢は、どうなっていたか、わからない。
「烏江」は安徽省にある長江の渡し場。
漢の劉邦に攻められ敗走し、ここに至った楚の項羽は、
亭長が用意した船で江東の地に渡るのを断り、
壮絶な最期を遂げた。
この故事をふまえ、
項羽が亭長の勧めを聞き入れて長江を渡っていたら、
どうなっていたか、わからないと述べた句である。
起句・承句では、
「勝敗は兵家事期せず、羞を包み恥を忍ぶは是男児」となっています。
(勝敗は兵家の常の事、時によって、どうなるか、わからない。
負けても、恥辱を忍ぶのが男たるもの)
これは、現代においては、
政治家たちが権力闘争で戦う際に忘れてはならない教訓だと思います。
(参考文献)
中国名言便覧(三省堂)